美味しいものを食べて
「美味しい」と言える自分でありたい
生きる喜びを感じて
「自分らしさ」を取り戻したい
当院では、それを実現するための環境を整備しております。
また、大学病院にて訪問歯科を専門に学んできたドクターが担当しますので、
大学病院クラスの処置を受けて頂くことが出来ます。
日本は、超高齢社会になりました。
そして、今も高齢者が年々増加しています。
今までの歯科医療は、歯科医院に通ってくれるいわゆる“健康な人たち”の歯科治療中心でした。もちろんそれはいまでも大事なことです。
今後は健康な人たち以外にも、通院困難な方や要介護高齢者の口腔内を診ていく在宅歯科診療が必要になってきています。
しかし、現在その取り組みをする歯科医師は非常に少ないのが現状です。
さらに要介護高齢者は、食べることの障害(摂食嚥下障害)を持っている人が多く、その障害により、誤嚥(気管に異物が入ること)による肺炎、窒息、栄養や水分が足りない低栄養・脱水状態など「生命の危機」に瀕している場合や、また「食の楽しみ」を奪われていることが多いのです。
食べることは本来であれば楽しみのはずなのに、それが原因で命を落としている人、むせて苦しそうに食べている人、また、口から食べられるのに鼻からチューブを入れられ、そのチューブを自分で抜かないように手に手袋をされている人もいる、、、まさに生き地獄。
この現状を何とか変えたい!
高齢者歯科を志した僕はそう思いました。
在宅医療において、「医師」が果たすべき役割は質的にも量的にも大きく、食支援までは手が届きにくいと聞きます。そこで、「歯科医師」が在宅医療において求められる、というよりやるべきことは、食支援に関する専門医になること、また食支援に携わる職種をコーディネートすることだと思います。
食支援することで、肺炎・窒息などを予防でき、安全・安心して楽しくご飯を食べることができます。それは増大する医療費等を抑制することにも繋がると言われています。生きていく上で食べることはとても重要です。最後の最後まで口から食べることをサポートができればと思います。
訪問歯科診療をするにあたり、こだわっていることをご紹介します。
マニチュードとはフランス発祥の認知症ケアの方法です。
「人は見つめてもらい、誰かと触れ合い、言葉を交わすことで存在する」という考えから生まれたものです。
人としての基本的なかかわりあい方ですが、多くの医療人がこの姿勢を忘れがちです。どのような方でもこの姿勢を崩さず真摯に向き合います。
誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは、細菌を含んだ唾液などが誤って気管や肺に入ることで発症する肺炎のことです。
食べ物や飲み物を飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」、この動作が正常にできないことを「嚥下障害」といいます。
嚥下の機能が低下すると、食べ物や飲み物が正しく食道へ入らずに誤って気管や気管支内に入ることを「誤嚥(ごえん)」といい、気管で細菌が繁殖し肺炎を起こすことがあります。
成人の方であれば、誤って気管に入った場合も自然反射的に吐き出したり、細菌から身を守る免疫力が十分に備わっているので、大きな問題にはならないのですが、高齢者、特に寝たきりや身体が不自由な方は、そうした自然反射的な動作が難しいので、細菌が気管に入りやすく、さらに抵抗力や免疫力の低下から、誤嚥性肺炎になりやすいと言われています。
また、厄介なことに誤嚥性肺炎には再発を繰り返す特徴があり、細菌が薬に対する耐性をつけることで、抗菌薬の効果が弱まってしまい、最悪の場合、死に至るケースも報告されています。
厚生労働省の統計によると、日本人の死亡原因の第4位は肺炎となっており、肺炎で死亡する人の90%以上は75歳以上であり、90歳以上では死亡原因の2位に順位があがるほど、危険性の高い疾病とされています。
誤嚥性肺炎のリスクを軽減するためには、お口の中を清潔な状態に保つことも重要ですが、嚥下訓練も非常に大切となります。当院の担当ドクターは大学病院で専門に摂食嚥下リハビリテーションを学んできておりますので、お口の衛生管理の他、嚥下機能の向上も行っていきます。具体的には嚥下内視鏡検査(VE)を行い、それぞれの嚥下機能に合った食形態やリハビリの提案を行います。また、食事姿勢や栄養などの指導を行い、多職種で安全・安心な食支援を行います
多くの薬を飲んでいても、医師・看護師や介護職と緊密に連携をとり、安全な抜歯を行える体制をつくります。
複雑でなければ診療所と同等の診療を保障いたします。
歯を削ったり、入れ歯を調整したり、歯石をとるための機材があります。サイズは小型ですが通常の歯科医院内で使用している大きな歯科診療台と同じ機能があります。
通常の義歯以外にも、嚥下機能を考慮した特殊な義歯を作製します。
歯科医師にしかできない嚥下機能を有利にする義歯を作製します。保険診療可能です。
僕が老人施設に往診に行った時でした。
ちょうどお昼前の時間帯でした。
そのおばあちゃんMさんの目はしっかり開いていて、車椅子も自力で動かしていました。ですが、どこか元気がありませんでした。
施設のスタッフさんからMさんは脳卒中の後遺症があるため、胃瘻で(お腹に穴をあけてそこから栄養剤をいれて栄養を摂る方法)、口からは食べられないことを聞きました。
しかし、摂食嚥下障害(食べることの障害)を専門にしてきた僕から見たら、このMさんは口から食べられそうだなってことは一目瞭然でした。
食べること以外は元気で意識レベルも高いのに、食事時間になると口から食べられず元気がないことが分かりました。
そこでスタッフや本人と相談して簡単な問診を行い、そして次回、嚥下内視鏡検査の予約をとりました。(鼻から細いカメラを入れて適切に食べられているか見る検査)
検査の結果、口から食べていない時期が長かったので、口やのどの筋力が落ちているものの、軟らかいものからであれば問題なく食べられることが分かりました。
その後、Mさんは口やのどのリハビリをがんばり、また奥歯がなかったので義歯を作り、最終的にはなんでもご自身の口で食べることができるようになりました。
Mさんが「施設のみんなでたまに外食するとき、回転寿司で何でも食べられるようになった。マグロでも何でも食べられるよ。本当によかった」と嬉しそうに語ってくれたことを覚えています。
このように在宅・老人施設のような慢性期(生活期)では、口から食べられる機能が残っているものの(または回復したものの)、病院から運ばれてきたままの栄養方法で暮らしていることはめずらしくありません。
口から食べれるのに、、、お腹から栄養、、、そんな辛いことはないです。こういう方がいなくなるように今後も食に関する支援をしていきたい、と思いました。
83歳のYさん。男性。
自宅で療養中、1年に2回も誤嚥性肺炎を繰り返しているとのことで、ケアマネージャーさんから私に依頼がありました。
要介護度3で身の回りのことはほとんど奥さんが行っているとのことでした。奥さんからふつうのご飯を食べさせたいけど、肺炎に2回もなっているからどうしたらいいものか、という途方にくれた訴えを頂きました。
早速、お口の中を診ると、舌苔(ベロの汚れ)や歯垢・歯石がたくさん付いていました。痰がらみもすごく自分の唾液でむせていました。これでは間違って気管に多くの汚れが入ると肺炎になってしまいます。また、病院に入院中、入れ歯を使わなくなったらしく、合わなくなっていました。
まず行ったのは、お口の中のしっかりとした専門的口腔ケア。これで汚れは入らなくなります。奥さんにも日常の口腔ケアのポイントを指導させて頂きました。
そして、上下の入れ歯を作製して、嚥下内視鏡検査を行いました。すると、ふつうの米飯は難しいですが、軟らかいご飯やとろみのついたお味噌汁ならむせずに食べることができました。
それから、本格的な口腔・嚥下リハビリが始まりました。
口を開ける訓練や笛を使った訓練などなど、奥さんの協力のもと、本人もがんばってくださいました。歯科衛生士さんが分かりやすいように何度も説明したり、絵に書いて見て分かりやすいように工夫しながら、リハビリを応援しました。
その結果、水分にうすいトロミはつけますが、ほぼ常食を食べられるようになりました。ここ一年は肺炎になっていません。奥さんもご主人と同じ食事を食べられるようになって喜んでいました。栄養学的にも数値があがり低栄養状態から脱しました。また、これは今回の介入が関係するのか分かりませんが、夜中何度も起きていたYさんがほとんど熟睡できるようになったとのことでした。介護負担も軽減したようでした。私は嬉しくなりこんなによくなったのだから学会で発表させてください!と調子に乗っていいました。奥さんは2つ返事でいいですよ!と答えてくださり、僕はその結果老年歯科の認定医をとることができました(余談)。
話がそれましたが、言いたいことは、誤嚥性肺炎を繰り返していたとしても、肺炎を予防し、口からお好きなものを食べることができる例は他にも経験しております。
ぜひあきらめずに気軽にご連絡を頂ければと思います。その人・そのご自宅に合ったお手伝いができると思います。
当院にお電話して頂き、症状やご要望をお教えください。患者様のご自宅に伺う日程を決めさせて頂きます。
ご予約を頂いた日時に訪問チーム(歯科医師・歯科衛生士)が伺います。ご自宅以外でもご要望がございましたら、老人ホーム、病院などにも伺うことが出来ます。
患者様、またはご家族の方に問診票にご記入頂き、詳しいご要望を歯科医師が伺います。治療内容をご相談した上で、治療をご希望される方のみ治療開始となります。
診療には、訪問チームが拝見します。診療では、寝たまま、車いすに座ったままなど、患者様が楽な姿勢で診療をお受け頂けます。お口全体の歯・歯肉、口腔の機能をチェックし、お一人お一人に必要な治療と口腔のケア・嚥下訓練などを行っていきます。
お口の健康維持のために、定期健診も行っております。また治療の依頼がございましたら、再び伺います。